そして僕は株主になった

昨夜、を書き終えると、早速ネットで振込手続きを済ませた。なんでもかんでもネットで出来るので銀行なんてもう暫く行っていない。
今朝9時半。見知らぬ番号から電話が掛かった。ピンと来て電話に出ると昨日のバイク屋のおっちゃんだ。
「もう振り込んでもらった?これから?銀行行ってみようと思うけど二度手間になるとあれだからさー。」
「はい、もう振り込んであります。」
「そう。じゃあ午後からバイク登録して持っていくからねー。」
あれ、納車は明日じゃなかったっけ?まあいいや。気をつけて。
暫くするとまた電話が鳴る。時刻11時。
「いま、登録終わったからぁ。家はどの辺?いま交番にいるよ?」
自宅の場所の説明をすると、
「うん、わかったー。じゃあ、納車は午後からにしましょうねー。」
だそうだ。
その交番は多分目と鼻の先の場所にあるのだから、もう持ってきてくれればいいじゃないか。そうすればおっちゃんだってサッサとお店に戻れるだろうに。
いったい何をしていたのか知らないが、おっちゃんは軽トラにカブを積んで昼下がりにやってきた。電話の向こうで「多分近くにいるよー。」と言っていたので外へ出ると百メートルほど離れたところに居た。
「こっちこっち。」「どうして分からなかったのかなー。ああ、マンション名、英語で書いてあるのねー。」
確かにうちのマンションはカタカナ表記はなく、アルファベットの看板しか出ていないけど…。
軽トラカブ
「ちょっと、手伝ってねー。ブレーキはそっち側だから。」
軽トラの荷台からバイクを下ろす作業も、軽いカブだと簡単だった。ハーレーだとこうはいかない。
「それじゃあ、1000キロ走ったらオイル交換に来てね。」
そう言い残しておっちゃんは去っていった。気をつけて。
被るのを躊躇するようなヘルメット。しかしこれしか無いのだから仕方ない。家にある一番ダサいジャンパーをコーディネイトして試乗に出掛ける事にした。
キーをひねってスターターボタンをポチ。ブルルルル。あっけなくエンジン始動。
ギアをガチャンと入れてスタート。ヒュルルルルー。ハンドルがフラフラして怖い。
2速、3速、4速。おぉー。
シートが随分高く感じる。視線が高くてちょっと怖い。ポジションが少しきつい。ステップがもっと遠ければいいのに。ハンドルがもっと遠ければいいのに。いやいや、ハーレーを基準にして考えてはダメだ。
最初は道路の端っこをゆっくりと走る。ガチャン、ガチャンとシフトを繰り返しながら。
そうこうするうちこのバイクの乗り方が分かってきた。シフトのタイミングとか、曲がり方とか止まり方。そうすると一気にバイクとの距離が縮まって、自分のカラダの一部みたいに操れるようになってきた。うん、これは楽しい。
いつもハーレーに乗っているときには、物凄い勢いで周囲からの視線を浴びる訳だけど、カブに乗っているととにかく誰もこちらを見ない。60キロ制限の道を50キロで走ろうが、道の端をフラフラしながら走ろうが、誰にも煽られないしなんともない。信号待ちで止まっても、だーれもこちらをまったく見ない。
多分このダッサイ緑色も効いている。あたまでっかちなヘルメットに紺色のジャンパー。そして茶色の変なサングラス。道端のショーウィンドウに映った自分の姿はまるで漁師の様で思わず吹き出した。カブはダサければダサいほど街に溶け込める乗り物なのだ。
スピードを出す気にまったくならないし、ゆっくり走っていても楽しいから、トコトコ走る。
クルマだったら躊躇するような細い道へだってズンズン入っていける。
変な道に入っていって行き止まりになってもクルッとUターンして戻ってこれる。
関係者以外立入禁止なんて看板だってカブだと関係者に見えるから不思議だ。
まるで透明人間になった様な不思議な感覚。
うーん!これは楽しい!

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Category: Super Cub
Tag :

ikeura

バイク乗りです。犬でいうと6歳くらいです。愛車は2003年式ロードキング。東京のIT企業を経営していますが、リアル ノマドワーカーなので夏は福岡、冬は沖縄に住んでいます。バイク雑誌に連載アリ。ツーリング、キャンプが大好き。釣りは100キロ超級のクロマグロだけを追いかけています。動画も撮るので宜しければチャンネル登録もお願いします。

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