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ある日、青森の遊漁船ドリーマーのホームページを見ていたら、「7月の三連休にキャンセル発生」と記事が出た。ハイシーズンの予約はすぐに埋まってしまう人気船だから、連休に乗れるならラッキー以外の何物でもない。
これは行くしかない!と、即座に船長に電話を入れると無事に予約を取ることが出来た。そんなわけで 7月の三連休は、急遽 青森の久六島遠征に行くことになった。

DAY 1

三連休を明日に控えた金曜日。今日は青森への移動日だ。
昼前に電話が鳴った。画面には「ドリーマー 小林力」の文字。
聞けば「明日と明後日は時化て出られない」とのこと…。
週初めに見た天気予報では大丈夫そうな感じだったけれど、いつの間にか天気は良くない方へ向かったらしい。とはいえフライト時刻は数時間後に迫っていたので「とりあえず行きます」と告げて電話を切った。まあ、週末に温泉宿に浸かりながらのんびりできるとすれば、それもまたいい。

釣具は予め宅配便で送っておいたので、身の回りの荷物とロッドケースを持って地下鉄に乗る。以前は空港までタクシーで3,000円近く掛かっていたが、引越しをしたら家の前が駅になったので、空港までは地下鉄で 15分で行けるようになった。
荷物を ANA のカウンターに預けると、とりあえず生ビールで一人乾杯。経由地の羽田空港に着いて、さらに生ビールをもう一杯。離陸を待たずして睡魔に襲われ、着陸の衝撃で目を覚ます。ということを二回繰り返したらもう目的地の大館能代空港に着いた。

預けた手荷物を受け取ると、カウンターへ行ってレンタカーの手続きをする。今回は二人なので AD バンを借りておいた。ロッドケースとスーツケースを後ろの荷台に積み込んで、初日の宿「ハタハタ館」へ向かう。走り出して暫くすると宿から到着時刻の確認の電話が来た。
「いま向かっています」と言うと、「夕食は 7時からです」との答え。
まあギリギリ間に合う感じ。

信号のない道を快適に走っていると、今度は船長から電話。
「明日は時化だから、今日は遊漁の仲間と弘前で飲み会をするんだけども、こっちさ来ませんか?」という。
今日は宿に着いたら温泉に浸かって晩飯食って酒飲んで寝るー、という感じを思い浮かべていたので少し返答に詰まる。一旦電話を切って現在地からの距離を調べてみると、ここから宿まで一時間。そして宿から弘前までは約2時間。100キロを超える距離に驚いて躊躇する。タクシーで行ける距離ではないし、また戻ってくることもできそうにないから、行くとすれば今向かっている宿はキャンセルにして、弘前に泊まることになるだろう。
「うーん」と少しだけ悩むが、あっさり誘いに乗ってみることに決めた。面白そうな話には飛びつく以外ない。

ハタハタ館に到着すると、フロントで二人分の宿泊費を支払って、送っておいた荷物を受け取ってとんぼ返り。すぐさま AD バンに戻っていま来た道を引き返す。
カーナビに目的地の住所を入れると所要時間は 3時間超とか表示される。あまりにいい加減な所要時間に驚くが、ハイスピードで走り続ければ、この表示は徐々に短縮されるのだろう。
一般道から東北自動車道に入ると、さらにアクセルを踏み込んでみる。しかしさすがは営業車。いつも乗っているクルマと違って、スピードを出すとちょっと怖い。
大鰐弘前ICを降りたところで船長に電話を入れると「すぐに迎えに行きます」と云う。コンビニの駐車場で待っているとホントにすぐに来てくれた。

迎えに来てくれたクルマの後ろに付いて走って行くと、真っ暗な路地を曲がっていく。いったいどこへ行くのだろう?不思議に思いながら道を進むと、工場の前でバーベキューをしている人たちの姿が見えて状況を把握する。
弘前の居酒屋で皆が集まって飲んでいるところに遅れて到着~、という図を勝手に思い描いていたのだが、完全に間違えていた様だ。そしてここはファイナリスト工藤船長のお宅ということだった。

とりあえず冷え冷えのスーパードライを頂いて、マグロを始めとする地のサカナで腹を満たす。食え食えと勧められていろいろなものを食べていたら幸せな気分になった。
みんなの話を傍から聞いていると、何を言っているのか分からない部分もあったけれど、毎年少しづつ聞きなれてきた津軽弁が耳に心地よい。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、気が付くと午前零時。少しづつ片付けが始まると、代行を呼んでもらってホテルに帰ることになった。

暫くすると「クルマのカギさくんねか?」と言われてカギを渡す。「ああ、代行の人が来たんだな」と普通に思う。また暫くして「いぐか?」と言われて席を立ち、振り返ると絶句して驚愕して笑ってしまった。
そこにはなんと我々の AD バンが積載車に積まれている姿があった。さすが車屋さんというべきか、完全に意表を突かれてもう笑うしかない。

トラックの座席に座って帰路に付くと、運転をしてくれていた人が「船長の家に寄ってから行きます」と言う。よく意味が分からなかったけれど、「はい」と返事をしておくと、住宅街のなかで積載車が止まった。すると外から「お疲れさまでした」と声を掛けられて驚く。どこから出てきたのか、見ると船長一家が笑っている。知らぬ間に、積載していた我々のクルマに船長一家が乗っていたと言うことか。

再び積載車は走り出し、ホテルの前で僕らは降りる。そして路上で降ろされる ADバン。なんてシュールな画なんだろう。
ご一緒させていただいた皆さん、酔っぱらっていて名前も聞けなかったけれど送ってくれた方。ホントにありがとうございました。

DAY 2

翌朝は 9時半まで熟睡して、10時にチェックアウトをすると、ホテル前に船長が迎えに来てくれていた。
「今日は時化たので何処かへ案内しますよ」と、嬉しい申し出をいただいたのだ。
ハイエースの後ろに乗り込むと、まずは最近有名なラーメン屋があるのでそこへ行ってみようということになった。テレビはあまり見ないので知らないけれど、ケンミンショーという番組によく出る店らしい。
そして昼前にお店到着。オーダーは船長にお任せで。すると暫くしてラーメンが運ばれてきた。出てきたのは「みそカレー牛乳ラーメン」。どれだけおぞましいものが運ばれてくるのかと思ってドキドキしていたけれど、まあ普通に食べられた。

その後は青森駅近くにある、ねぶた館みたいなところで「ねぶた」を見た。写真では見たことがあったけれども、ホンモノのねぶたは電飾が施されていて凄く綺麗だった。実際に練り歩くところを見てみたい。

ねぶたを見終わって建物を出ると、すぐ隣でキリンビールがキャンペーンをやっていた。新発売の一番搾りを二本くれるというのに加えて、県産食材を使ったバーベキューが無料でいただけるらしい。気温も高く、ビールが飲みたい感じだったので迷わず参加。冷え冷えビールは美味かったし、ホタテやイカも旨かった。

腹が一杯になると、駅前からほど近い「ますへい」さんへ行ってみる。ここは青森では定番の釣具屋さんだから、とりあえずみんなブログをチェックしてる感じだろう。そういえば自分も昔、ソルティガ8000とか通販で買った気がする。

そんな感じでホテル前に戻るとちょうどいい時間になったので、船長たちと別れて宿へ向かう。今日の宿は岩崎漁港そばの「汐が島」。ここは二年前に泊ったことがあるのだけど、儲け度外視してる感じで晩飯の量が半端ない。「明日のタックルはどうする~?」なんて話をしながら夕食を食べていたら、船長から入電。そして「風が上がってきたみたいなんで明日は出船中止にします」と告げられる。まあそんな気はしていたんだけどね。明日の為にお酒を控えめにしていたけれど、そんな必要もなくなってハイボールを追加。そのまま部屋に焼酎持ち込んで夜中まで宴会。今日も楽しい一日だった。

DAY 3

朝 7時に宿のお母さんに「朝食ですよー」と部屋のドアを叩かれて、文字通り叩き起こされる。
ボーっとしたアタマのまま食堂へ向かうと、目玉焼きと納豆とその他諸々の朝食が並んでいた。基本的に炭水化物はあまり食べないので、お米と納豆とタマゴなんて久しぶり。本当は大好きメニューなので、ある意味これは最高の贅沢。納豆卵かけご飯、やっぱり美味かった。
朝食が終わる頃になると雨が大降りになってきて、出船中止に感謝すらする。確かにこの雨の中ではタックル組みたくはない。そして部屋に戻ると、そのまま畳に敷かれた布団に潜り込む。ああ、和室のお布団っていいなぁ。
あっという間に眠りに落ちて、気が付くと昼前になっていた。休日の午前中を布団の中で過ごせる幸せ。

さすがにこのまま12時を迎えるのはマズいだろうと気が付いて、布団の上でカラダを起こすと寝ぼけたアタマで今日の予定を考える。とりあえず温泉行って、そのあと釣具屋。あとは成り行きで。なんとも安易な行動予定だが、雨の青森ですることなんて他に思いつかない。

Google マップで温泉を検索すると、近所に不老不死温泉というところを見つけて行ってみる。お湯は赤茶色で舐めると赤錆みたいな味がした。鉄っぽい感じだからか少しのぼせて、いつまでも火照ったカラダが冷めずにいた。温泉を出ると通り掛けに見つけた道の駅で塩ラーメンを食べる。福岡に住んでいると豚骨ラーメンしか食べる機会がないので、太麺が美味しい。

食事の後は五所川原まで走って定番のイクタ釣具へ行ってみる。まあ田舎の釣具屋だから何があるって訳じゃないんだけれど、SOULS のルアーやらステッカーやらロッドなんかが多くてそれなりに楽しい。
ロッドコーナーに行くと、おもむろに PS-O65PCS を握らされる。いわゆるアシュラ 65 というやつだ。ティップが下に引っ張られると、ロッドがギュイーンと曲げられる。

「おお!なんだこの楽な感じ~♪」

6フィート半のロッドなんてジギングロッドにしか見えないし、ルアー投げても飛びそうにないから全く興味なんて無かったんだけど、実際に触ってみたらこれが凄くイイ。ワンピースロッド特有のしなり方にも惹かれたし、スリムなグリップの握り心地にもやられた。これならデカいの掛けても行けそうな気がする。
二日も出船中止になったから、その浮いたお金でこのロッド買えるじゃん。買う気満々になったものの、ワンピースロッドなんて持って帰れるのだろうか。一旦クルマに戻ってロッドケースの長さを計ってみたら、残念ながらそのロッドはケースに収まらないことが判明した。その場での購入は断念せざるを得なくなったけど、これは帰ってから通販で買っちゃうかもしれないな。

DAY 4

遠征最終日は午前 6時出船。前日に組んだタックルを持っていよいよ船に乗り込んだ。
軽くうねりのある海に出船すると、まっすぐ西へ走って久六島を目指す。
片道 30分くらいで着くような印象があったけれど、実際には片道一時間半も掛った。

途中の海でナブラが沸くような海域ではないので、キャビンの中でウトウトしながら過ごす。時々目を覚まして船の GPS を見ると少しづつ久六島に近づいていてワクワクする。
エンジンスローになって目が覚めると、外に小さな白い灯台が見えた。久六島に到着である。
久六島は島と言ってもただの岩礁が三つあるだけの場所で、見た目には小さな灯台があるだけだ。水深の深い海域に於いて、この辺りだけが瀬になっているからマグロが狙えるというわけだ。

「この時期 出れば 80キロクラス」

そんな台詞に釣られて来ていたので、基本 それ狙いだったのだけど、まあ 30キロクラスの数釣りなんかが出来たらイイな、という希望的観測があった。
いつもの龍飛崎なら 10号 12号タックルオンリーで、ヨコワクラスは完全スルーなのだが、この時期の久六島なら、ということで今回はライトな 6号タックルも持ってきた。

午前中からパシャパシャとサカナが跳ね始めるがサイズは小さい。大きくて3キロ。ヘタをすれば1キロ程度。ち、小さすぎる。それでも跳ねればリリース前提で投げるしかない。が、ミニマム 30キロで考えていたので、どうやって攻略して良いのか分からない。
隣船では鳥山の下で誘い出しをして20キロクラスを数本ヒットさせたらしい。というか、実際にヒットした瞬間を目撃したけれど、誘い出しでマグロ獲るなんて、青森 凄いな。すぐさま真似てみたけれど、こちらの船にはヒットしない。

それからも小さなナブラにルアーを投げて、何度かバシャバシャっとサカナの反応は得ることはできたけれど、結局乗らずにミスヒット。コンコンとサカナの感触だけは伝わってきたけれど、スルスル上がってきそうなサイズだったのでまあいいや。

アドレナリンが出るようなサイズのサカナと巡り合うことなく、僕らの久六島遠征は終了となった。

DAY 5

最終日は、初日にお金だけ払って泊まれなかったハタハタ館に泊った。本当は連泊したかったのだけれど、連休だから飛び飛びにしか予約が取れなかったのだ。
初日に立ち寄った時には「国民宿舎みたいな見た目だな」と思っていたけれど、中に入ってみると案外綺麗な宿だった。部屋も綺麗で立派だし、お風呂も広いし、この辺りでは高グレードの宿らしい。まあ一人一万円の値段も納得できる感じ。

朝風呂に入り、朝御飯を食べて、宿を8時過ぎに出発して空港へ向かう。スタンドで燃料を入れて、大館能代空港でレンタカーを返して、ロビーのレストランで生ビールで乾杯。
今日は平日だから本当は仕事なのだけれど、福岡に戻れるのは夕方になるので飲んじゃった。メールと電話は普通に来るはずだけれど、飛行機に乗ってしまったら何もできないしね。
ビールのせいでまたもや離陸と同時に眠りについて、気が付くと羽田空港に着いていた。長い長いターミナルの通路を歩いて到着ロビーに辿り着くと、目に飛び込んできた「刀削麺」の看板に食欲をそそられて店に入る。
麺は刀削麺だけれども、味はいろいろ選べる感じが悩ましい。結局、担々麺にしたけれど、海老塩ワンタンとかウマそうだったな。もちろんここでも生ビールを頼んだのは言うまでもない。

昼食が終わると、遠征を共にした Crazy27 の相棒とはここでお別れ。
一人に戻るとちょっと不思議な気分になった。ずっと二人一部屋で、毎日ほぼ 24時間一緒にいたせいか、一人でいることが不自然に感じたのだ。そのくらい普通に馴染んでたということだ。

いつも「ミヨシは一つしかないから、本気でマグロ獲るなら一人チャーター」と意気込んでいたけれど、今回「まあ二人でもいいかな」と少し心に余裕ができた旅になった。

こんな感じで、長く短い遠征は無事終了。
結果は出なかったけれど、最高に楽しめた三連休でした。
次こそモンスター。狙いは常に 100キロオーバーなのです。

Special Thanks :
Chikara Kobayasi (Dreamer) & Yusuke Mashiki (Crazy27)

Tackles :
KLL 75/45 , STELLA 20000MAX, SMP#10, γ-140
BLC 80/40, STELLA 14000XG, SMP#6, γ-60L
SM776CR, STELLA 14000XG, SMP#6, CATAP 70g
(Because the rod case is 180 cm…)

過去の青森遠征の記録はこちら

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Category: オフショア

ikeura

バイク乗りです。犬でいうと6歳くらいです。愛車は2003年式ロードキング。東京のIT企業を経営していますが、リアル ノマドワーカーなので夏は福岡、冬は沖縄に住んでいます。バイク雑誌に連載アリ。ツーリング、キャンプが大好き。釣りは100キロ超級のクロマグロだけを追いかけています。動画も撮るので宜しければチャンネル登録もお願いします。

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