昨夜泊まった出水のホテルは以前一度泊まったことがある。
決して綺麗ではないけれど、温泉が素晴らしい。素晴らしいと言っても老舗の温泉旅館などと比べるとどうということはないけれど。
露天と檜風呂があり、いずれも確実に天然の掛け流しだ。
このお湯の為だけにこの宿を選択したと言っていい。いや、ここは食事も旨い。
出水を出発してフェリー乗り場のある長島へ行く道は少し遠回りをすることにした。
途中、スタンドでガソリンを入れるとバイクに興味津々の女の子がナンバーを見ながら、随分遠くから来ましたねと言う。そうね、でもそんなに遠くはないよ。志布志まではフェリーで来たんだし。そうですか?いや、でも遠いですよ。まあね、遠いと言えば遠いかな。でも走っているのが楽しければすぐだよ。
海沿いの丘の上の畑をつなぐ道。
向こう側に見えるのは長島の風車。日本の風車はそっけない。真っ白で三枚翼。だれか色でも塗ればいいのに。
長島のフェリー乗り場は平和そのものだった。南から天草にアプローチする人間なんて熊本と鹿児島の人しかいないんだから混むわけなんてない。
ぽつんと停まる品川ナンバーの大型バイクが帰省の人々の興味をそそる。
昼前に天草に到着。
天草半島の下にちょこんと付いた下須島という所をぐるっと回ってから、いつもの東海岸沿いの県道26号を北上する。この道は何故か大好きな道だ。もしかするとこの道を走りたいが為に九州に来ているのではないかと思うほどだ。小さな町と町を繋ぐ、ひなびた細い道。海沿いだったり山道だったりしながら延々と続く道。
町に入ると道の両側に民家が立ち並び、この県道がその町の一本しかない生活道路となる。
この道を走っていると、家の前にイスを置いたおばあちゃんが三人並んで座っていたりする。それほどまでに小さな町は数百メートルと続かない。町が終わるとまた真っ青な海沿いの道になる。湾をグルッと取り囲むような道になると、自分がこれから走る道が向こう側にすべて見通せる。向こうからやってくるクルマが予め見通せると思いっきりりアクセルを開けて行ける。
楽しい天草はとにかく走ることに熱中した。
すでに知り尽くした道を縦横無尽にひた走る。
琴線に触れる道がどこまでも続く。まるでサーキットの様だ。
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