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自転車代わり

土曜日。朝、目覚めると11時を過ぎていた。
外は快晴だ。
そういえば、昨夜は天気予報を見なかった。
空を見上げても、「バイクで出かければよかったぁー。」というガッカリ感や焦燥感が、微塵もない。
これは明らかに、いつもの燃え尽き症候群だ。
九州が楽しすぎたので、「家の近所なんて走ったって。」という超贅沢な無気力感が私を支配しているのだ。
快晴の空の下、ルーフテラスにマットとタオルとテーブルとビールとつまみを持ち出してゴロリと横になり、そして微睡む。
店先のロードキング
夕方、予約していた美容室へバイクで行ってみた。
ドロドロドロと、薄暗くなった夕方の道を流す快感。
カラダから綺麗に力が抜けて、ママチャリにエンジンが付いているだけの様な不思議な感覚で走る。
実は、バイクの本質は漕がなくてもいい自転車だと思っている。
子供の頃に手に入れた、知らない世界へ連れて行ってくれる自転車という乗り物。
漕がなくて良ければ何処へだって行けるに違いない。
そう思ったあの日の夢が、現実になっている今。
気づけば暑くもなく寒くもなく、風が気持ちいい最高の季節になっていた。
さあ、明日は何処かへ行ってみようか。

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