三日目の朝。
起きぬけに雲仙の掛け流し温泉に浸かって、旅館の朝食を食べる。
快適でありがたい朝食のあと、玄関脇のロビーでテレビを見ながらコーヒーをすすっていたら、昨夕バイクの音で飛び出して来て路地裏の秘密の屋根付きパーキングを教えてくれた女将が現れて、今日は雨は降らないと思いますよとテレビの天気予報を見ながら教えてくれた。
確かに今は曇り空だけれど大丈夫。これから行く先はきっと晴れるから。
しっとりとした朝の空気の中を走り、少しだけ島原半島を堪能したあと熊本行きのフェリーに乗った。
傘の様に雲を被った雲仙にさよならを告げ、次に向かうのは天草半島。
これからそちらへ向かいます、どうぞよろしくと海の彼方に広がる天草半島へ視線を送るとキラキラと海が光り始めた。
街から近いところは、やはりクルマが多い。
車列に身を任せ、のんびりと海沿いを流しながらしばらくやり過ごす。
上島に入ったら渋滞の国道を逸れ、勘を頼りに三桁県道に入ると途端にいつもの田舎道が始まる。
険しい山道を暫く走るとついに下島へ突入。
徐々にクルマが減り始め、数時間も走ると視界から人影が消える。
サンセットラインと呼ばれる辺りまで来ると、空も海も色は深さを増し、
なんて楽しい夏休みなんだとこの辺りで最初のピークを迎える!
メロメロ状態のまま快適な海沿いを堪能し、今度は反対側の海岸線へ進む。
行き止まりなんじゃないかと思うような道をかまわず突き進むと、これまた鮮やかな色の海に出た。
所々に点在する小さな町を結ぶ道はめまぐるしく景色が変わる。
木陰にバイクをとめて休んでいたら後ろから軽トラのじいちゃんがバイクにつられて現れた。
反対車線を塞ぐようにして軽トラを停め、なにしてる?と話しかけてきた。
なんでこんなところを走っているのかとかそんな話から始まって、おれも昔東京へ行ったことがあるよと長い話が始まる。この辺りのルーツについて、この辺で獲れるもの、そんな話が終わると、次は娘の話になり、いずれ保険金の話にまで飛び火した。
そのうち泊っていけと言われるんじゃないかと思い、出発の支度をしてヘルメットを被ったら、
ここいらには昔30センチも雪が積もったんだと話は続く。
じいちゃん天草はいいところだねぇまた来るよ。
次は夕日が綺麗な道を走りに鹿児島に渡らなきゃいけないからもう行くよ。
惜しむように最後の天草を走り牛深港へ。
フェリー乗り場に着くと次の便まで一時間以上もある。
あぁどうしようかと思っていたらパッド付きのメッシュの上着を着た人発見。そして近づいてきた。
とっさに周りを見渡すもバイクはどこにも見当たらない。
これが普段着ならもしかしたら変な人か?なんて思ったらバイクが壊れて修理待ちなんだそう。
いろんな話をしていたらあっという間に時間が流れた。なんだか波長が合うのかな、
まだ話の途中なのに気がついたらフェリーが到着してクルマが降りてきたので別れを告げる。
本日二度めのフェリーに乗ると次は鹿児島だ。
夕焼けの海沿いの丘を走りながら、明日の晴天も確信。
やっぱり今日も最高の一日だった!
行き先は阿蘇バイクヘブンですか?