綺麗に晴れ渡った、宮崎の朝。
日焼け止めを十二分に塗りこんで出発。もう何度も走っているけれど、やはりここまで来たら日南海岸は走らなくては。
ヤシの木が延々と並ぶ道を、強烈な日差しを受けて南下する。そして海沿いの道へ。
この道を走るときはいつも綺麗に光る太陽と海が迎えてくれる。晴れてなければ何の意味もないこの海岸線の道は、そんな自分の価値を知っているかのように、自らを最高の照明、すなわちぎらぎら光る太陽で照らす。
8月17日。キラキラ光る海だけれど、終わりを迎えようとする夏の気配を感じさせる。まだ決して秋の気配というわけではないけれど、ほんの少し傾いた太陽の軌道が、もう真夏ではないことを感じさせる。
このまま走ると都井岬。しかし明日は大分からフェリーに乗らなくてはならないのだ。宮崎を南下してきたけれど、今度は内陸の道を選んで北を目指すことにする。
海岸線が南北を結ぶ幹線道路となっているので、宮崎の内陸部にまっすぐな道は存在しない。しかしすこし遠回りをすることをいとわなければ大丈夫。無論、クネクネするのは問題ない。
県道と農道を使えば宮崎北端までいける。これから走る県道の数字を頭に叩き込んでバイクに跨る。なるべく途中で地図なんて見たくない、暑いから。
女の子には分からないと思うけど、男なら誰でも「北」がどちらかは認識できるはずだ。体の中にあるコンパス。たとえ街中であっても密室であっても。
もしあなたが方向音痴なら農耕民族の血が強いのだろう。狩猟民族の血を色濃く受け継いでいるなら北がどちらかなんてすぐに分かる。だから北を目指すほど簡単なことはない。
宮崎南部はやっぱり日南海岸がメインだけれど、どうしてどうして。内陸側の道も十分に楽しい。逆に穴場だな、こっちの道は。
快走路をとにかく北上する。どこまで北上するかといえば、川沿いのくねくね道があるところまでだ。宮崎北部には川沿いの快適くねくね道が沢山あるのだ。
北を目指して走っていると、日本一の杉景観・飫肥杉峠展望台という看板があったのでちょっと立ち止まってみる。
カメラを持ってバイクを降りるが、どこにでもあるただの山にしか見えない。日本一という割には大したことないなと思っていたら、行き過ぎたファミリーカーがバックしてきた。ははは、またバックの車だ。
小さなファミリーカーからは5人もの人が降りてきた。明らかにこちらへ向かってくるから、こんにちはと声を掛ける。
皆、興味深々でバイクを取り囲む。これは幾らなのか、何ccなのか、何処へ行くのか?
写真を撮ってもいいかと聞かれたので、「跨ってもいいですよ」と告げる。
私、この写真を葬式の写真にするわと大喜びのおばちゃん。でも携帯で撮った写真じゃ厳しいんじゃない?
談笑すること10数分。ありがとうといって冷えた缶コーヒーをくれた。ありがとう。そういえば今日はまだ何も食べていなかった。これで糖分補給が出来る、助かります。
ダイナミックに北上する道にもそろそろ飽きてきたなあと思う頃、川沿いのくねくねする道に辿り着いた。東西に走る川沿いのクネクネ道は宮崎に数本ある。どれも快走できるので、日南海岸と並ぶ宮崎ハイライトである。
陽が傾きかけた頃に走る山中のワインディングは最高だ。涼しくて、ヒグラシが鳴く道を人知れず走る。ああ、夏休みって感じ。
途中、僕を呼び止める橋があったのでバイクを止めて写真を撮る。橋のそばにはオートキャンプ場の看板。オートキャンプ場はファミリーのイメージがあるのでスルーしてその場を立ち去ると今度は棚田が僕を呼び止める。
棚田の写真を撮っていると、川の向こうに寂れた施設。あれはさっき素通りしてきたオートキャンプ場かな?誰もいないみたいだから、今日はあそこに泊ろうか。ちょっと迷いながらもUターンする。
ほとんど廃墟と化したオートキャンプ場。ヤドカリが新しい貝を見定めるかの如くその場所を吟味する。この寂れた感じはかなり好みだ。管理人なんてもちろんいないから気楽なものだ。
しかし陽が傾きかけているのにちょっと汗ばんできた。ここはそれほど標高が高くないのか。もうすこし高いところにあれば決めたんだけど、寝るには気温が高すぎる。秋なら迷わず泊まったんだけどな。
最寄の町に降りてホテルに泊まろう。
そして延岡ナイト。
いつも、混んでてイヤだなと、交通難所くらいにしか思っていなかった延岡だが、立ち止まってみれば良い町だった。
とても小さな町だから飲食店は密集していて数が少ない。
その割りに客の入りはいいから食材は新鮮だ。
佐賀関が近いからか、関サバが旨かった。
延岡恐るべしである。
ツーリング
ikeuraさん
そうなんです、延岡恐るべしです(笑い)
北浦からの魚が豊富に店頭に並びます。本当は北浦だけではないのですが。
駅の近くに3ヶ月居ました。
あと1ヶ月居れば、もしかしたらここでお会いできたかも、残念!
魚の活きがよくこちらより2,3割安かったです(改めて驚きです)
私の好きなのは”ひむかさば”とジャコ天(さつま揚げのようなもの)
懐かしさもあるのでしょうけど・・・・
元気になったら又行こうかな。
楽しい寄稿有難うございます。元気もらえました。