今週末は漫然と、あの「燃えたキャンプ場」へリベンジに行こうと思っていた。4月から虎視眈々と狙っていたのだが、他の予定や天気に翻弄されてまだ行けていなかった。あそこはビーチ脇のキャンプ場だから海水浴客が出入りするようになったら芋洗い会場になってしまう。梅雨の合間の晴れ予報。今週末は最後のチャンスかもしれない。行くなら今しかない。
「行くなら今しかねぇ、行くなら今しかねぇ♪」 金曜日の夜。何処かで聞いた気のする唄を口ずさみながら何の気なしに「気比の浜 2011」と検索をしてみた。すると「6月4-5日、○○フェスティバル開催。キャンプもできます。」という案内を見つけた。なんてこった。「あの場所へ、再び。」の夢は木っ端ミジンに砕け散った。子供が楽しそうに走り回るところでキャンプなんてできやしない。
さて、どうしよう。今週末は家で寝てようか。
目的を失ってしまうと後ろ向きな考えが頭の中を支配し始める。思いのほかテンションが低く、「どこでもいいから走りたい!」という感じではない。まだ少し充電が足りてない様だ。もうすぐ日付も変わろうかという時間になっても行先は決まらない。二本目のワインの栓を抜いてしまうと、「もう行く気ないんだろ、オレ」と、悟ってしまう。しかし何度確認しても天気予報のサイトには太陽マークが燦然と輝いている。どうしよう…。
そうだ、小豆島へ行こう!
一度は行ってみたいと思っていたけれど、小さな島だからすぐに飽きてしまうんではなかろうかと敬遠していた小豆島。今の時期なら海目当ての客も少ないだろうし、それほど走りたい気分ではないから小さい島はかえって好都合だ。
フェリーの時刻を調べると、午前11時15分(もちろんもっと早い便もあるけれど、まったく目に入らなかった)。姫路港までなら一時間半。いや二時間もあれば着く。このくらいの時間にだったらオレだって起きられる。そして大渋滞の加古川バイパスをすり抜けて姫路港到着。アンド出航。
バイクでフェリーに乗ると大抵は船室に一番乗りが出来る。はじっこの居心地の良さそうなシートを確保して腕組みをするとすぐに睡魔に襲われて眠りに落ちた。今朝は7時半に起きたけど、これは自分的にかなりの早起きだったから仕方ない。
途中でブーツを脱いで、完全に横になって寝に入った。おかげで眠気はすっかり収まり、目を覚ますと100分の船の旅は残すところあと15分になっていた。丁度いい。
甲板に出て写真を撮る。家を出た時はまた黄砂かと思うほどに霞んでいたが、寝て起きると綺麗に晴れていた。
腹が減ったので船室に戻り、売店でおにぎりを買って食べた。どうせ走り始めたら止まるのがイヤになるに違いないのだから食える時に食っておこう。
ほどなくフェリー着岸。数十台しか乗っていないクルマ達がフェリーから降りるのに5分と掛からない。どんどんいなくなるクルマの横で手早く出発準備をしてバイクに跨る。一瞬悩んで、少しチョークを引きエンジン始動。正解。冷えたエンジンを感じながら、最後のクルマに続いてフェリーを降りる。
小さな港のロータリーの様な広場には、船が到着した直後にだけ訪れる一瞬の賑わいがあった。船を降りた人が各々の目的地に向かいこの場を去れば、すぐにまた静寂が訪れるに違いない。この刹那の賑わいの中へバイクで降り立つのは好きだ。いつもワクワクする。そしてまた、知らない土地へやってきた。
港の出口は島の外周を走る幹線道路に繋がっていて、信号はなく「止まれ」の標識が立つT字路だ。頭上には左右にそれぞれ二つづつ地名が書かれた大きな青い案内標識が掲げてあるが、どの地名も聞いたこともない。
「止まれ」で一時停止して港から出ていくクルマで詰まり気味の車列。ほとんどのクルマが左のウインカーをあげているのを瞬時に確認すると、車列の右側を、停止線で止まっている先頭のクルマの右側まで進み、その先頭のクルマが左に走りだすのと同時に自分も右へ向かって走り出す。
数キロ、いや数百メートルも走ると町の様相は消え、ただの道になる。同じフェリーでやってきたと思われる何台かのクルマをパスしてしまうと、もう誰もいない。ワインディングと海沿いロードが続くだけの、いつもの快適に道になった。
「小豆島に来て正解だったなぁ。」走りながらニヤニヤしている。もう止まる気なんてサラサラないから延々と走り続ける。ツーリングマップル見開き二ページに収まる島の全体図は頭に入っているから、途中で地図を確認する必要もない。そもそも海沿いを走りたいなら、現われる分岐を全て右に行けばいいだけだ。
もう2時間以上は走っただろうか。快適に走っていると前方にパトカー出現。追い越すわけにも行かないので後ろをついて走る。しばしの休息。腰を揉み、肩を回しながら15分ほど一緒に走っていると観光地然とした場所でパトカーはUターン。自分はアクセルを開けて直進。と、行き止まりである。そこは「二十四の瞳」の映画村だった。戻り道もパトカーの後ろでは走る意味がないので、バイクを停めて少し観光することにした。
入口近くにあった「ぶらぶらあんない」と書かれた看板をみてから、受付のおじさんに挨拶をしてぶらぶらと中に入ろうとしたら「おかね」と声を掛けられる。そうか有料か。完全に意表を突かれて考える間もなく、ポケットから1000円札を出して受付のおじさんに渡す。「はい、おつり300円」入場料700円か。いったい何があるんだろう。タイトルから考えて12人の子供が出てくる話であろうことは想像に難くない。それを証明するように小学校を模した建物がある。松竹のオープンセットをそのまま残したという映画村。よくある地方の訳の分からない観光スポットのそれとは一線を画す立派なものだったが、映画を見ていない私には「何のことやらさっぱり」である。
パトカーのいなくなった同じ道を来た時の半分以下の時間で引き返し、交差点を右折。ほっそい道のY字路を右。杉の枯れ落ち葉だらけの道や、アンテナの並ぶ道を走り、島を一周する。小豆島、結構広かった。自分が昼過ぎに降り立ったフェリー乗り場へ戻る頃には陽が傾きかけていた。そろそろ晩飯の心配をしなくてはならない。まずは冷たいビールとそれを冷やすための氷を探しに行こう。あとは生きたアワビが買えれば最高なんだが…。
続く。
こんにちは。続くの後はまだでしょうか。
あ、すみません。
実は原稿はできているのですが、これよりもさらに長文になってしまったので掲載を見送ろうかと思っています。あまりにも長すぎるのはどうかと思いまして…。
大丈夫。夜は長いです。
載っけてくださーい!
読みたーい!