白状すると、私はあまりアルコールストーブが好きではありませんでした。アルコールストーブなんて理科の実験に使ったアルコールランプ程の火力しか無いのだろうと勝手に決めつけていたからです。そんな先入観に捕らわれて「興味なし」というカテゴリーにジャンル分けしていました。いわゆるアウトオブ眼中。まあここまでなら問題ありません。
そんなある日、トランギアのアルコールストーブについて好意的に書かれたブログが目にとまりました。本来なら読み飛ばすところなのですが、そのブログで言及している他の事柄に興味があったのでそのまま読み進めました。そして、トランギアのくだりになったとき、「そんなわけないだろ、アルコールストーブなんて」 と心の中で呟く自分に気が付きました。アルコールストーブを少し見下している自分。あれ?オレは使ったこともないのに何を言っているんだ?後述する自分のポリシーに反していることに苛立ちを覚えながら、そのままアマゾンへ移動してトランギアをオーダーしました。これが事の始まりです。
トランギアなんて特に欲しかった訳でもないのですが、試してみなくては気が済まない。いや試してもいないのに否定的なコメントするのはカッコ悪い。これはまだ若かった頃、深夜のファミレスでシルビア乗りと180SX乗りにポルシェの悪口を延々と聞かされ続けてうんざりした時に感じたことです。「で、乗った事あるの?」「ないけど。」「…。」 それ以来、「実際に試したものにしかコメントしない」というポリシーを貫いてきました。そんな意地みたいな理由で購入したトランギアですが、実はこんな買物はいつもの事。だって手にしたものにしか言及してはならないと決めたからには、どんどん買うしかありません。このブログのネタが尽きないのはそんな理由。別に人より物欲がすごいって訳ではないんです。
そうして数日後、トランギアが到着しました。
「なんて簡単な造りなんだ…。」初めて手にするトランギアは単なる真鍮の丸い筒状のケースにしか見えません。半ば呆れながらも、薬局で買って来ておいたアルコールを本体に満たして、おもむろに点火しました。やることはこれだけです。アルコールを満たして点火。(おもむろに。) 現物を前にしてもやはりアルコールランプと同等品にしか見えなかったのでリビングのテーブルの上で試しました。
するとどうでしょう!ほとんど見えない炎が無音でゆらゆらしているだけです。思った通りアルコールランプと変わりません。「なんだこれ!やっぱり使えない!あー失敗だ!」 実際に試した後なのでもう好き勝手な事が言えます。 「こりゃヤフオク行きだ、あーこりゃこりゃ。」
しかしご丁寧にも、一緒に五徳まで買ってしまっていたので、ヤフオク行きにする前にせめてにコーヒーくらいは作ってみようと気を取り直してお湯を沸かす事にしました。
するとどうでしょう!!無音の筈のアルコールがシューシューと音を立て始め、次第に火力を増しているではないですか。「なんだこれ!火力が強くなっている!これがトランギアの本当の姿なのかー!」 アルコールストーブは自身の熱で燃料を気化させて燃えるのだと云う事を、このとき初めて知ったのです。タダのアルコールランプとは比較にならない程の火力。初めてポルシェに乗った時の様な衝撃です。以来、すっかりアルコールストーブのトリコになってしまいました。それにしてもすぐに火を消さなくて良かった。
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アルコールストーブの利点は構造が簡単なので小さくて軽いということ。そして燃焼音がきわめて静かであるということ。また燃料のアルコールは田舎の薬局でも買えるので、地方遠征でも安心ということです。しかもアルコールは安い。
反対に欠点はというと、構造上 火力調整ができないということ。容量が小さいので一回の燃焼時間が短いということです。燃料切れで火が消えてしまうと、火力が戻るまで時間が掛かります。給油からやり直し。いわゆるフリダシに戻る、です。
さて、やっと本題です。
ある日、ヤフオクや e-bay をはじめとする世界中のオークションに、キーワード「Vulcano」で張っておいたアラートが反応しました。それがこの 「Vulcano アルコールストーブ」 でした。 ん?アルコールストーブ?初めてその存在を知りました。
アルコールストーブなのに火力調整ができて、しかも長時間の稼動が可能と記載があります。なんだこれ?Google などで検索してもまったく素性が分かりません。これはもしかすると相当なレア物では?もう欲しくて堪らなくなってしまいました。
思った通りオークションは高値高騰。終了間際になると沢山の入札者が現れ始め、価格は天井知らずに上がっていきます。しかし、いくらレア物ビンテージと云っても所詮はストーブ。バイクだったら破産してしまうかもしれませんが、ストーブくらいであれば「なめんなよ!」という気になれば入手できない筈がありません。
数日後、手元に届いた Vulcano アルコールストーブは未給油未点火。いわゆるミントという状態でしたが、すぐに火を入れました。このストーブを手に入れた理由は、その魅力的なスペックに惚れ込んだからです。貴重なモノかもしれませんが、使わなければその魅力は引き出すことはできないのです。
一応、プレヒートをしなくてはならないようですが、そもそもアルコールストーブなので普通に点火して火が安定するのを待てば良いだけです。プシューと、小さな音がするので完全に無音という訳にはいきませんが、ガスやホワイトガソリンのストーブとは比較にならないほど静かに燃焼します。
燃料タンクは上蓋に付いており、見ての通り十分な容量があります。火力調整についても言う事なし。しっかり弱火から最高火力までフレキシブルに調整できます、ス・テ・キ。 そう、このストーブを一言で表現するなら「素敵」です。素晴らしすぎて適わない、です。
さすがに出力カロリーはガソリンストーブにはかないませんが、十分に実用機として使えそうです。もしもどこかで売っているのを発見したら迷わず購入してください。こいつはかなりのオススメです。なめ猫バンザイ。
キャンプ用品
なめんなよ・・・!
って、これかっこよすぎ!
燃料???
単なる重力による流下式?
はい、他の液燃ストーブと異なり、燃料タンクに圧は掛かっていません。
燃料は上から下に落ちていってるだけです。
そのため上蓋は、写真の様に120度くらいまでしか開かない様になっています。
はじめまして、私もこれ持っています。たぶん”VULCANO Nr.230″だったと思います。実は使ったことないので燃焼画像参考になりました。でもアルコールは高い燃料だと思いますよ。薬局で300円/500mlなので1リットルで600円ほどしますし、他の燃料に比べて単位時間当たりの消費量も多いように思います。
薬局で300円というだけで、なんとなく安い気がしていましたが、
そう言われると確かに。
火入れをした途端、新品だった五徳の塗装がプクプクと泡立ってボロボロになりました。
開き直って普通に実戦投入していますが、なんとなく甘い香りが漂っていい感じです。
続、小豆島へ。
島の半周を終えた辺りから、目ぼしいスーパーがあったら買物を済ませておこうと思っていたけれど、目ぼしいスーパーどころか潰れそうなスーパーすら見つけることが出来なかった。見つけられないまま昼過ぎに降り立ったフェリー乗り場に近づいている。フェリーを降りてすぐ走り出してしまったから確認できていないけれど、フェリー乗り場の近くなら、スーパーくらい あるに違いない。 フェリー乗り場まで数キロの看板が現れるが相変わらずの田舎道が続く。暫く走りるとぽつりぽつりと民家が現れ始めたので少しスピードを落として慎重に走る。…